ペアGM(ふたりGM)の進め方

 本編(ヴィジュアルリプレイ)を読んで「ペアGMをやってみたい」と思った方のために、実際に行う上でのポイントを書いておきます。
 参考にしてみて下さい。

 尚、二人でシナリオを作ることを、「ペアシナリオメイキング」と呼びます(命名は氷川霧霞さんです)。
 丹川他が行っている方法は氷川さんの方法とは少し違っていますので、比較して好みに合う方を選ぶのも良いかも知れません。


1.誰と組む?

 ペアGMをしたいと思った時、相方は誰にお願いしたら良いのでしょうか?
 基本的には、普段一緒に遊んでいる卓仲間をお勧めします。
 見知った相手だと、相談もしやすいでしょう。
 (まあ同卓したことがなくても、安心して相談できる相手と分かっていれば、問題はないと思いますけどね)
 良く知らない相手と組むのは、意思疎通が上手くいかなかったり、相性が合わなかったりするリスクが高くなりますので、あまりお勧めしません。
 何回か同卓すれば、人柄もなんとなく見えてくるかも知れませんけども。

 たまに(たぶん悪意なく)行き過ぎてしまう人もいます。
 ですので、「やめてと言ったらやめてくれる」と思える相手と組むようにしましょう(特に初心者GM)。
 また断られた場合、悲しいですけれども、素直に引く事も大切です。



2.やりとりを何で行うか

 二人のGMが共同でシナリオを作りますので、やりとりをどういう手段で行うかは非常に重要です。
 ペアシナリオメイクの先達である氷川さんは、オンラインでの文章中心のやりとりでペアシナリオを行っています。
 逆に、同じく先達の壬生夫妻はオフでの会話中心だったようです(そうじゃなかったら、ええと…)。

 丹川は、過去に同人誌作りをメールや掲示板など文章中心で行い、煮詰まってしまった経験がありました。このため「絶対に会話中心」と思っています。
 逆に「会話だと気まずい。文章の方が気楽」という人もいるようです。その辺りは、二人に合っている方法を選んでもらうのが良さそうです。

 丹川の場合、いつもはSkype通話か直接会ってシナリオを作っています。
 これまでの経験から言うと、直接会って一緒にシナリオ作りするほうが、テンションも作業効率も良いように感じます。
 ただ、日程が合わなかったり、相方と居住地が離れていたりすることもあるので、オンライン通話が現実的な場合も多いでしょう。



3.メインGMを決める

 同じく重要な事として、「メインとサブを決める」ことをお勧めします。
 シナリオ作りの時間は限られています。必要なことを決めきれない可能性があります。
 特に、お互いの意見がいつも一致するとは限らないので、最終的にどちらの意見が優越するのか、一番最初に決めるようにしています。
 もっとも人によって価値観の差が激しそうなところですので、対等が良いと思うなら、どちらがメインと決めずにシナリオ作りをして意見がまとまらず苦労すれば良いと思います。

 この時、ペアシナリオメイクが初めてなら、「経験の浅い方をメインにする」ことをおススメします。
 と言うのは経験豊富な方がメインになってしまうと、経験浅い方が遠慮して口をはさめない間に、豊富な方がどんどん先に進めてしまい、経験浅いGMが見ているだけになってしまう危険性があるからです。
 逆に経験豊富な方がサブだと、シナリオの最終決定は経験の浅い方が行うことになります。
 経験の浅いGMが、何か納得せず渋っているようなら、メインGMの方は「ここはこういう理由で、こうした方がいいんだよ」とノウハウを説明をするチャンスにもなります。

 一度ペアシナリオメイクが上手く行ったのならば、後はどちらがメインになっても構わないと思います。
 出来上がったシナリオには、やはりメイン側の色が濃く出るような気がしています(笑)。
 尚、どうしても相手の意見に納得できない時の心の持って行き方としては、氷川さんが「それぞれのバージョンを持てばいい」という良い解決方法を書いています。



4.二人ともセッションに参加するかどうか

 もう一つ大事だと思うのは、「セッションには二人とも参加する」です。
 ペアシナリオメイキングしてもセッションには片方しか参加しない、というやり方をする人たちもいます。
 それもそれで一つの方法とは思います。
 ただ丹川は、「シナリオ作りの報酬はプレイヤーの表情」という考え方の持ち主で、かつ「同じ目的のために共闘することで燃える」という原理によって、モチベーションアップを図ることも重要だと思っています。
 これも自分達にあった最適な方法を取ってもらえればと思いますが、特段の理由がないようならば、二人ともセッションに参加することをおススメします。

 なお、「サブマスターってセッション中、暇そう」と思うなら、パーティーに同行する、もしくは頻繁に登場するNPCを一人出すと良いでしょう。
 単純な味方NPCが手間がかからず楽ですが、逆にそこにこだわってシナリオを面白くすることもできます。
 癖のある依頼人にしたり、家出した貴族の娘(もちろんトラブルメーカー)にしたり、胡散臭い同行者(敵のスパイ)にしたり、しゃべる魔剣にしたり、PCが拾った猫にしたり。
 ネタは色々あると思いますので、面白くなりそうな物を見つけて下さい。
 この方法は、卓の人数が少なくて、サブGMをお願いするとパーティ人数が足りなくなってしまう場合にも使えます。
 この辺のことは、「作りたい物語がなくてもGMしたいんです!」でやっている通りですね。



5.ツール、記録方法

 特にオンラインでペアシナリオメイクをする場合、以下のようなツールがあると便利です。
 同等の他のツールでも構わないでしょう。


・Skype

 Skypeはネット経由で電話をかけられるパソコンソフトです。基本的に無料で使えます。(携帯や固定電話などへかけると有料になります)
 利用にはマイクが必要です。千円程度の物で良いのでヘッドセットを買って来た方が良いでしょう(Skypeロゴが入っていないヘッドセットでも利用できます)。


・Googleドライブ

 Googleドライブは、複数人が書き込みできるオンラインの共有文書です。
 メモを取ったり、決定したことを書き込んで行くのに向いています。
 Googleのアカウントが必要ですが、手軽に利用できておススメです。
 相手が書き込んでいる様子がリアルタイムで分かりますので、ちょっとした表現に悩んでいる場合などにそれと気づくことができるというメリットもあります。
 尚、似たようなことができるものにwikiというものがあります。wikiにもメリットはあるのですが、やや知識が必要になりますので、ここで紹介するのはやめることにしました。興味ある方は、氷川さんのサイトの「Wikiを使う」の項目をご覧ください。


・お絵描きチャットなど

 簡単な絵を描けると、理解が早くなることがあります。
 色々あるかと思いますが、タカミンを利用しています。
 タカミンは専用ソフトが必要なく、一人が簡単な登録でレンタルすれば使用できて手軽です(ただしjavaがインストールされいる必要があります。インストールされていない場合、案内が表示されたはずです)。
 なお、ログや画像はこまめにダウンロードしておきましょう。



6.最初はダベリから始める

 いきなり最初からシナリオ作りを始める必要はありません。
 お互いノっていて、「さあ今すぐ作ろうぜ」と言うテンションならばそれでも構いませんが、特に回数を重ねるうちに、どちらかが疲れていたり、気乗りしていなかったりする回が出てきます。
 そんな時は無理に始めず、最近読んだマンガや遊んだゲームの話でもして下さい。
 話しているうちに、徐々にモチベーションが上がって来ますので、そうしたらシナリオ作りにシフトすれば良いでしょう。
 乗り気でない時にモチベーションを回復できる。これが丹川が思う、ペアシナリオメイクの一番の効能です。



7.二人はバディです

 氷川さんも書いていますが、相手のアイディアをいきなり否定するのは止めましょう。
 特に、経験者GM側に「初心者GMの考え方が間違っているから、指導してやらないと」といった意識が出てしまうと危険です。
 それは「ダメ出しによって、初心者GMが自信を失う」からです。
 特に「GMするのに自信がないから、ペアGMする」ような初心者の場合、全くの逆効果となり、下手をしなくても二度とGMしなくなってしまうでしょう。

 相手のアイディアは、一旦肯定し良い部分を認めましょう。良い点、大抵一つはあるものです。
 その上で、それでも問題があるなら問題点について話しましょう。その時も、糾弾者になるのではなく、問題の共同解決者というスタンスを基本にして下さい(確かに「今回は」利用できないアイディアというものはありますが、全く無価値なアイディアはそうそう無いものです)。
 「なるほど、いきなりボスが登場して、そのボスを追いかけるシナリオというのは面白いね。ただ、ルール的に逃亡する事って難しいんだけど、そこはどうしようか?」と言った具合ですね(とりあえず困ったら「なるほど」って言っておくといいですよ!)。

 逆に問題を自分で発見してしまったアイディアであっても、話してみると解決策が見つかったり、相手の別のアイディアとくっついて面白いネタになることがあります。
 あと、シナリオのアイディアはあまり一人で考え込まず、思い付いたものをとりあえず投げてしまいましょう。
 どうせ二人で作るのですから。詰める必要が出たら、それから一緒に考えればいいのです。



 ペアGMは、まだまだ発展途上な方法です。
 「こうした方が良い」と思う部分があったら、どんどんやり方を変えていって下さい。
 では、楽しいシナリオ作りを!